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言語隠蔽効果

  • nmtmah
  • 2016年5月15日
  • 読了時間: 5分

前々回、私が人の顔を憶えるのが苦手だという話題から、

上手くスライドさせて言語隠蔽効果の話をしようとしたのだが失敗した。

今回も別の話題から始めてしまうとまた辿り着かない恐れがあるので、

単刀直入に行こう。

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言語隠蔽効果とは――

課題に対して言葉を用いると妨害的影響が生じること。

例えば、顔写真の記憶などで言語的に特徴を述べると、記憶そのものが歪み、再生成績が下がる。

わ、難しいこと言ってる。

よくわかんないスね。

簡単に言うと、こういうこと↓です。

人の顔の特徴を言葉にすると、後でその人の顔を正確に思い出せなくなる。

ぼんやり記憶したままの方が正しい記憶を保持できる。

=====

こんな実験がある。

①ある人物の写真を用意し、その顔を被験者に覚えてもらう

②先程の顔の特徴を言葉にしてもらう(目が大きい、鼻が高い、など)

③複数の顔写真の中から、最初に見せられた人物を選んでもらう

その結果、

②の作業を行ったグループと行わなかったグループでは、

行わなかったグループの方が正答率が高くなる。

=====

これは、犯罪捜査において目撃証言をとる際、犯人の顔の特徴を言葉で述べさせてしまうと、

誤認逮捕に繋がる可能性があるということである。

だから、捜査の為に、目撃者に「どんな顔でしたか?」と訊くのはよくないらしい。

「ええと、鼻が高くて、目は細くて切れ長っぽい感じで、細面だったと思います。」

などと証言してもらったとして、実際にその特徴を備えた人物を数人ピックアップしたとする。

そしてその人物たちの写真を見せて「この中にあなたが目撃した犯人はいますか?」

と訊いても、実は当人はよく思い出せなくなっており、場合によっては間違った人物を指し示してしまう。ということ。

この現象自体は以前から知られていたが、人間による行動実験結果のみで信頼性に欠ける部分があった。

しかし、昨年(2015年)名古屋大学の研究グループがコンピュータシミュレーションを用いて、より信憑性の高い結果を導き出した、らしいです。

=====

私なんてそもそも人の顔を憶えるのが苦手なので、

もし犯人を目撃したとしても、どうしたって自信を持って証言できないだろう。

自分の記憶を信用できないのだ。

漫画『GS美神 極楽大作戦!!』で、

主人公のバカでスケベな17歳の横島クンが、GS(除霊師)の修行に片足を突っ込み、不本意にも化け物と格闘しなければならなくなった時、

場外から師匠の美神令子に「自分を信じるのよ!横島クン!」と、いかにも少年漫画らしい事を言われるシーンがある。

その時の横島クンのセリフ、

「世の中で自分ほど信じられんもんがあるかー!(泣)」

は、私の深い共感を得た所である。

横島クンは、自分に能力が無いことを自覚しているという点で聡明である。

=====

ちなみに事件ではないが、私は交通事故の目撃者になったことがある。

しかもほぼ唯一の証人。

サラリーマン時代に、一人で車で県外に出張し、その帰りが深夜1:00頃になったことがあった。

(働いてたなあ…(涙))

つくば中央ICで高速を降りて、「もうすぐ家だ」とほっとしていた時、

前を走っていたバンが、急に横道から出てきた車にぶつけられて数十メートル斜め前方にはじき飛ばされた。

あと数秒ズレていたら私がぶつけられていた所であった。

(しかも社用車でなく自分の軽に乗っていたので、色々危なかった。)

深夜なので他に走行車は無く。

私はビックリして、すぐにはどうすべきか判断できず、その場で停車してしばらく様子を見ていたのだが、両方の車から人影が出てくるのが確認できたので、とりあえずその場は帰宅。

あとで、警察から電話が来た。

どれくらい後だったか忘れたが(翌日くらいだったかな)、

(事故を目撃したことを)警察に言うべきかなぁ、よく「ここで起きた交通事故を目撃した方は連絡をください」という立て看板があったりするしなぁ、などとうだうだ考えていたら、連絡が来たのである。

いわゆるNシステムというやつで、私の車のナンバーを読み取って所有者を割り出したらしい。

事故の直前に高速を降りた映像が残っていたのでわかったようである。

すごいですね、警察。

=====

それで、呼び出されて警察署に行ったり、現場検証に立ち会ったり、貴重な経験をさせてもらった。

ちなみにこの事故、双方の言い分が違って、困っていたらしい。

となると、第三者の意見がどうしても重要になってくるわけで。

私は無茶苦茶責任重大だったわけで。

あの時は疲れて深夜に高速運転して帰って来た所だったし、記憶も曖昧な気がして、私の証言が重要という事実に冷や汗をかいたものだ。

とにかく、私の記憶を精一杯搾り出し、且つ無意識に記憶が捏造されていないか慎重に検討しつつ、証言させて頂いた。

良い経験をさせてもらったと思っているが、やっぱり責任とかは負いたくないですね。

ちなみに、「警察に呼び出された場合は会社を休んでもよい(有給とか使わなくても)」という事をその時初めて知り、印象に残っている。

=====

言語隠蔽効果について、もっと違う感想もあって、他の事を書こうと思っていたのだが、

結局別の方向へ行ってしまった。

本当に私の思考は散漫である。

まあ今回書かなくてもそのうち書くこともあるだろうと思うので、今回は、この辺で。

お付き合い感謝します。

〈了〉

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